酒気帯び 冤罪事件の概要
今回の事件は、令和4年11月4日 愛知県でおこりました。
カラオケ店から帰宅しようと車を発進させたところ、直ぐにパトカーが尾行 パトライトとサイレンが鳴り、停車させられ呼気検査を求められたところ、0.33mg/Lの数値がでて酒気帯び運転の現行犯として検挙されました。
酒気帯び運転基準値
0.15mg/L以上0.25mg/L未満 酒気帯び 13点
0.25mg/L以上 酒気帯び 25点
A氏は連れのB氏とカラオケ店に挨拶とお祝いを持っていくために立ち寄り、酒は一切飲んでおりませんでした。 しかし、カラオケ店というのは、当然飲酒も可能ですので、警察としては疑わしいと考えるのは当然です。
そんな中、カラオケ店から出てきたA氏が運転する車両を停止させ、酒気帯び検査をするのは仕方ないことだと思います。
多くの人は知らないでしょうが、日本の都市部にはあらゆる所にカメラが設置してあり、警察は酒気帯びの取り締まりにも監視カメラを活用し、疑わしい運転者を追跡して呼気検査というのをやっております。 なぜ、こんなにも偶然にパトカーがくるんだ? と思う方も多いですが、決して偶々ではないと考えたほうが正しいと思います。
A氏は令和4年の春、上側の歯の最後の歯が抜け落ちた為、令和4年春以降は上顎は総入れ歯をしております。
その時に使用するのが、入れ歯安定剤のタフグリップでした。
実際に検挙当日に使用していた物
入れ歯安定剤で酒気帯の呼気検査にひっかかるかの検証ブログ↓
恐怖の酒気帯びの取り締まり
呼気検査で0.33の数値がでると、警察は赤切符を作成し、飲酒をしたことを自白させる調書を作成してきます。
ここで、警察は呼気検査の結果を盾に、飲酒しなければ数値は絶対にでないという姿勢で、自白を強要(厳密には強要はしていないと言うだろう)してきます。
しかし、実際に飲酒をしていなかったA氏は当然お酒は一滴も飲んでいないと答えているにも関わらず、ならばこの0.33という数値は何だ?と問うてきます。
そこで、警察はあの手この手で自白を要求してきます。 前日は飲んだのか?とか 数時間前に実は飲んでいたのが未だに数値としてでる可能性はあるとか
そこで、A氏は昨夜(24時間程度前)は軽く晩酌したことを正直に伝えました。24時間も前の軽い晩酌が数値として出るはずもないのに、酒気帯び運転をしていない自信がなくなってきます。
また、同乗していたB氏の今後の予定もあり、やむを得ず酒気帯びを認める調書にサインしてしまいました。
サインしなかったら帰れなかったからです。
長時間勾留して自白させるのは違法ですが、許容できる範囲内ということで違法性を問うても勝てないでしょう。
A氏は検挙された当時、入れ歯安定剤にアルコール成分が含まれていて、呼気検査で酒気帯びになってしまうことを知りませんでした。なので、入れ歯安定剤が原因だと警察官に主張することができませんでした。
このように、入れ歯安定剤をつけて運転すると酒気帯び運転の数値がでる事を知らない人は意外と多いです。もし入れ歯安定剤が主張できれば、それを外した状態で数値が減少していくのか等、血中にアルコールがないことがわかる可能性が高いです。しかし、警察は処分が軽くなる方向においては努力しません。
被疑者にそのような可能性があることは周知させるべきであるところ、それを怠り、本来血中アルコール濃度を測らなければ飲酒状態はわからないのに、呼気検査のみで入れ歯安定剤を使用しているものに対して、酒気帯び運転で検挙、処分するというのは明らかに証拠不十分であると言えます。
つまり、A氏が飲酒をしていないということまでは、立証はできませんが、少なくとも警察官の集めた証拠だけでは、A氏が飲酒をしたということにはならない。
それをもって、自白を強要し、刑事処罰と、行政処分により運転免許の取消をするのは、横暴としかいいようがありません。
車の運転免許を失うと、仕事ができず生活の基盤が崩される人は多いです。人生が崩壊するほどの影響がある自動車の運転免許証をこのような冤罪で失う。運が悪かったねえじゃあすみません。
その後にとった対応
A氏はなぜ酒気帯びの数値がでたかわからず、自宅に帰った後、スマートフォンで酒気帯びの冤罪で検索をしました。そこで目にしたのが、入れ歯安定剤による基準値を超える冤罪が実際に発生しているという記事でした。更にインターネットを検索したA氏は当事務所に電話してきました。
私の事務所には、運転免許の取消処分を受けそうな方から毎日数件の相談が入ります。その中でも多いのが酒気帯びで検挙されたので助けて欲しいというもの。
正直、酒気帯び運転をしたのであれば、しなけらば死んでいたという余程の事情がありさらに立証でもしない限り不可能です。
実際に飲んで運転したなら反省してくださいとしかいいようがありません。同乗者でやむを得なかったとか体調不良であったので運転を変わったなどのケースもありますが、同乗者も幇助や車両提供で同罪になり、助かる可能性は低いです。それくらい酒気帯び運転が聴聞や意見の聴取でひっくり返るのは難しいです。
当事務所でも、聴聞や意見の聴取で主張すれば処分軽減があるパターンと不可能なパターンはだいたい分かります。基本的に助かる可能性のある方以外は、お金がもったいないので、あきらめるか、ご自身で対応するように伝えています。
今回のケースは、主張すれば助かる以前に冤罪で違反の事実すらありませんので、助かる、助からないで言えば日本の行政がまともであれば助からなけらばおかしいです。
そして、今のままだと最悪の事態に向かうので、急いで事実関係の訂正をするようにA氏に伝えました。
まずは、調書が飲酒をして運転しましたと認めているものにサインをしている状況を訂正しなければいけません。
私は、動画で入れ歯着用前の呼気検査数値0と入れ歯安定剤(タフグリップ)をつけて入れ歯装着後の数値を計測し、さらに10分、15分、20分、25分、30分と時間経過後に呼気検査の数値がどうなるかを撮影し、さらに歯科医師からの上顎総入れ歯である診断書をつけて警察署に事実関係の訂正をしにいくよう伝えました。
A氏の声は怒りと悔しさで震えており、冤罪で刑事上、行政上の処分を受け犯罪者扱いされてしまっている感情が伝わってきました。
疑いの目で見られる警察署での事情聴取
酒気帯びで検挙された後に、入れ歯安定剤だとかマウスウォッシュを使用したとか主張するケースは多いようです。当然A氏も嘘をつくなという眼差しで、今更否認してもあんたの免許取消は変わらないし、刑事処分が軽くなることもないと言われました。
確かにそういう嘘を主張する人はいるのでしょうが、A氏に関しては、私は嘘をついていないと判断しました。
A氏が飲酒をしていないという立証は不可能ですが、状況と相談してくたときの口調、こちらからカマをかけた質問で矛盾点を探してもしっかりと答えること。
A氏が検挙された日にカラオケ店でいくら支払いをしたのか?その領収書があるのか? その内訳はどうなのか? カラオケ店に確認したその日の売り上げと内容とが一致するのか? 結局カラオケ店でその日A氏が支払ったのは、付け出し2人分、アイス、ミネラルウォーター、ウーロン茶、30曲のカラオケチケットだけでした。
そしてその店の方も、A氏がその日飲酒した事実は目撃していない。
警察の取り調べで、A氏はかなり厳しい対応を受けたそうです。 とにかく疑いの目で罵声に近いものを浴びせられつづけ、精神的にも極限だったと思います。
結局A氏はもっているスマートフォンを提出するよう求められ、疑わしいことがないので提出しました。
スマートフォンには、当事務所に相談してきたラインの内容なども当然含まれていて、相談の内容からもA氏は本当に飲んでないんじゃないか?とわかる内容だったと思います。
私も、「実際に飲んでいても入れ歯安定剤で軽減を狙いましょう」 なんて絶対にやりませんから
そうして厳しい1度目の事情聴取では、いくら嘘で逃れようとしてもお前は助からないと言われ、帰宅することになったようです。
状況が少しかわったのは2回目の呼び出しです。 警察も飲酒をした事実を掴むために、おそらくカラオケ店や歯科医師にも聞き込み調査をしたのがわかりました。
どれだけ調べても、A氏が飲酒をしたことが確認できるものは出なかったそうです。警察官の話す口調も2度目の取り調べでは優しくなっていたそうです。
しかし、行政処分(運転免許取消)については、すでに点数が公安委員会に伝達されているので止められないと言われたそうです。
この前、YouTuber弁護士が、譲られたのに歩行者妨害の冤罪で戦ったときも、警察は一度ついた点数は抹消できないとの一点張りでした。
結局、世論が騒いだので、警察も点数の抹消をしましたが、通常であれば冤罪の点数でも消えないということです。
おかしいことはおかしい 私はこんな不条理なシステムを改善させたいと真剣に思っています。
譲られたのに歩行者妨害で検挙 道路交通法もしらない警察官のミスを認めさせた藤吉弁護士↓
意見の聴取の通知が届く
事実関係に関しては、飲酒したと自白したのは、帰れなかったからであり、酒気帯びの事実はないとなっています。
そこの書き方はやんわりとなっていたそうです。 自白を警察官が強要したなんて書きたくないからでしょう
しかし、警察官が言ったとおり、その後すぐに意見の聴取通知書がA氏の元にとどきました。
なぜ、事実がないのに取消処分になるのか?
もし、聴聞で正しい対応をしなかったら問答無用で運転免許取消の欠格期間2年になるでしょう
点数が抹消されていれば、A氏もこれ以上冤罪で戦う必要がなかったのに、この国の行政はどこまで国民をいたぶるのか?
私は、A氏と共に作成したタフグリップ実験の際の実験結果や歯科医師の診断書を証拠書類として、A氏の主張を書類にしました。
この書類については、今の段階では非公開にしておきます。
しかし、今後入れ歯冤罪で困った人がいた場合に、少しでも手助けになるように情報はどんどん出していこうと思います。
もちろん悪用は厳禁です。 というか悪用しても、嘘で入れ歯安定剤だなんて主張しても警察はそんなにバカじゃないから通用しません。途中で必ずボロがでるでしょう。
本当に冤罪だから、ここまでの主張ができます。
時間経過と、呼気アルコール含有量のデータ
1 装着直後 0.50mg/Lを表示
2 15分後 0.50mg/Lを表示 当時呼気検査をしたのは約15分後
3 30分後 0.50mg/Lを表示
4 45分後 0.45mg/Lを表示
5 60分後 0.15mg/Lを表示
実験実施日 令和5年1月8日
使用機材 タニタ製 アルコールチェッカー EA-100
以上から、上顎に全部床義歯を装着した場合、約1時間に渡り、酒気帯び基準値のアルコールが検出される。実際には装着直後は0.9程度出るという検証データがあります。
検挙された日、は会計前に食事にいく為入れ歯安定剤をつかって化粧室で入れ歯安定剤を使用後、会計を済ませ、運転した直後に警察官に止められております。
入れ歯安定剤使用後から15分程度しかたっていない状況でした。
1月12日 意見の聴取当日
今回の冤罪で免許取消処分が取り消されなかった場合、日本の行政(公安委員会)は証拠不十分で本人が認めていないのに、違法な処分を平気でやる組織だということが決定的になると思います。
当然ながら、A氏は無実で違反の実態が確認不可能なので25点の抹消となることを期待しております。
というか ならなかったら この国はおわりです。
警察が独自裁量で人々を処罰し始めます
結果については、この記事で更新していきます。
因みにこのまま取消処分となった場合は、不服審査というのがありますが、無意味です。 同じ行政庁の仲間が再度審査をしたところで覆ることはありません。
形式的に制度を置いているだけで、ここから先は行政事件訴訟として取消訴訟を提起していくしかありません。
これ以上先は弁護士の先生でしか戦えず、日数と費用も膨大にかかっていきますが、もしそうなってしまった場合はこの事件を取り扱っていただける先生を探そうと考えております。
事実上、費用や効率(膨大な費用と裁判にかかる時間)のことを考えると、聴聞(意見の聴取)が不利益処分を防ぐ最終手段だということです。
我が身にふりかからなければ関係ない そんな冷たい人が多い世の中ですが、私はこういう不条理な事件に巻き込まれた人が少しでも減ればいいなと切に思
っております。
警察24時を観て喜んでいる場合ではありません。