免停・免許取消の軽減措置

免停・免許取消処分の軽減について

点数制度の欠点

違反や事故を起こしたのだから仕方ないだろうという声が聞こえてきそうですが、実は免許の点数制度は以下の点において完璧なものではありません。

・点数は決められた基準に対して警察が判断し、機械的に割り振られただけです。よって、ドライバーの行為が本当に危険だったのか?などは考慮されていません。個別の状況が全く考慮されていないのに処分がなされてしまうのが普通です。

・累積点数で免停や免許取消になった場合、前回の処分の時期のズレによって、大幅に処分が変わることがあります。処分のタイミングが少しずれていたら1ランク下の処分だったという事は多々あります。このような事情も考慮されるべきです。

・職業ドライバーにとって、圧倒的に不利な処分制度だというのは言うまでもありません。1年に何万キロも何十万キロも走行するドライバーの持ち点も、殆ど運転しない人と同じなのです。自分の生活がかかっている職業ドライバーにとって、現行の点数制度は過酷なのです。

処分の軽減基準について

処分の軽減には行政庁側の裁量が大きく関与してきますが、一定の基準があります。

いずれにしても、過去の軽減事由や処分猶予の事例、具体例を基に判断されますが、ドライバー側が積極的に主張及び立証しなければ、行政庁側から軽減することはありません。

軽減の基準については、警察庁丙運第40号 平成25年11月13日通達(運転免許の効力の停止等の処分量定基準の改正について)により定められています。その中で、①処分量定に関する特例(第1-6)②処分の軽減及び処分の猶予(第2-1,2)③停止等の処分の期間の短縮、に関する項目が定められています。

運転免許の効力の停止等の処分量定基準の改正について

 

処分量定に関する特例について

処分のタイミングがずれたせいで全く違う結果になることがあります。

一度目の違反 12点

2度目の違反   3点

この二つの違反をしたドライバーがいたとします。

最初の違反(12点)の時点で1度目の免停処分が行われて、停止期間満了後に再び3点の違反をした場合は、まだ2度目の免停処分は受けておりません。

しかし、このドライバーが(12点)の違反後、免停前に2度目の違反(3点)をした場合、15点となり、免許取消(欠格期間1年)となります。

このように、処分時期のずれによって全く違う結果になるのは不公平ではないか?

処分量定の特例は、処分時期の遅れにより累積点数で重い処分になってしまった場合に、不合理な結論となることを配慮してもよいのではないかという主張をすることです。

その他に1回目12点 2回目 6点の場合と、 1回目6点 2回目12点でもまったく違う結果となります。やはりそのような場合も配慮を頂けるか伺う価値はあるとかと思います。

処分の軽減について

次の要件に該当し、危険性が低いと判断されれば、処分が軽減されることがあります。

1 「事故の被害」又は、「不注意の程度」どちらかが軽いとき

2 災害・患者搬送などやむを得ない事情があるとき

3 違反が他の強制によるなどやむを得ない事情があるとき

4 被害結果を重大にするなど被害者側に特別の事情があるとき

5 被害者がドライバーの身内であるとき

6 ア~オのほか、改善の可能性があるとき

軽減基準

処分を軽減することが運転者としての危険性改善に有効だと認められる者→30日の処分軽減

無前歴者で1~6の2つ以上に当てはまるもので、処分を軽減することが運転者としての危険性改善に有効だと認められる者→60日の処分軽減

取消処分の場合は、免停処分への軽減となります。

処分の猶予

30日の停止対象ドライバーで、処分を猶予することが運転者としての危険性改善に有効だと認められる者は、処分を猶予することができる。

60日の停止対象の場合は、無前歴者で、1~6の2つ以上に当てはまる者で、処分を軽減することが運転者として危険性の改善に有効だと認められるときは、処分を猶予することが認められています。

※軽減については、事由があったら無条件に軽減する者ではなく、違反の内容や運転者としての危険性を慎重に検討し、社会的に相当と認められる範囲内で軽減するようにし、不公平にならないように慎重に検討することとなっている。

60日軽減については、明確な特殊事情があるものに限り、猶予についてはドライバーを必ず出頭させ、十分な説明を行い指導をすることとなっている。

 

このような処分軽減措置が定められているにも関わらず、ドライバーへの周知がされていません。

主張し、立証できるような可能性があるのであれば、権利を主張すべきだと考えています。

意見聴取に向けた準備

意見の聴取では、上記のような基準を踏まえ、適格に自分の状況を説明、立証する必要があります。

次のページでは意見聴取に向けてどのような準備をすべきかを解説します。

 

意見聴取の準備について

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行政書士佐藤浩一事務所

運転免許証は人によっては生活に関わるとても大切なものです。職業ドライバーが免許停止や取り消し処分を受けてしまうと生活そのものが出来なくなります。国民の権利である意見聴取の機会を活かして少しでも処分を軽減し早く普段通りの生活に戻れるようお手伝い致します。

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