意見聴取の準備

意見聴取・聴聞に関する法律

公安委員会は、第103条第1項第5号の規定(道交法違反)により免許を取り消し、若しくは免許の効力を90日以上停止しようとするとき、第103条第2項第1~4号の規定(自動車等の運転により故意に人を死傷させ又は建造物を損壊させたとき、自動車運転死傷行為処罰法第2-4条に該当する行為をしたとき、酒酔い運転、麻薬等運転をしたとき、救護措置義務違反があたっとき)により免許を取り消そうとするときは、公開による意見の聴取を行わなければならない。

この場合において、公安委員会は、意見の聴取の期日の1周間前までに、当該処分に係る者に対し、処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知し、かつ、意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならないと定められております。

 

意見の聴取に際しては、当該処分に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ有利な証拠を提出することができる。

意見の聴取を行う場合において、必要があると認められるときは、公安委員会は、道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め、これらの者からその意見又は事情を聴くことができる。

公安委員会は、当該処分にかかる者又はその代理人が正当な理由がなく出頭しないとき、又は当該処分に係る者の所在が不明であるため通知をすることができず、かつ同行後段規定による公示をした日から30日を経過してもその者の所在が判明しないときは、意見の聴取を行わないで免許の取消若しくは効力の停止をすることができる。

前各号で定めるもののほか、意見の聴取の実施について必要な事項については政令で定める。

 

また、道路交通法第104条においては、聴聞の特例として、意見の聴取でなく聴聞をすべき場合を定めています。

詳しくはここでは割愛しますが、より特殊なケースによる処分を下す場合が聴聞の対象となると捉えておけばよいかと思います。

意見聴取・聴聞のはじまり

行政手続法では、行政処分をする際には、国民の基本的な権利や自由を制限するものであるので、原則として意見を述べる機会を保障しなければならない。

公安委員会は、意見の聴取期日の1週間前までに、意見の聴取期日・意見の聴取場所・処分事由・過去3年以内の行政処分歴・累積点数等が書かれた意見の聴取通知書を送付してきます。

県によって多少違いますが、一回に20人程度のドライバーが呼び出され、意見の聴取は公開の場で行われます。公開とはなっていますが、各公安委員会でまちまちで、実際には自由に傍聴できるようにはなっていないケースが殆どです。

代理人での出席も認められており、事情があって本人に代わって意見を述べることができます。

意見聴取では、本人と一緒に出頭して、意見を述べ、状況を説明する補佐人を付けることができます。

補佐人は公安委員会の許可がなければ就任できませんので、「補佐人出頭許可申請書」を意見聴取の数日前までに提出する必要があります。

意見の聴取では、自分に有利な証拠を提出することができ、違反の状況を目撃した同乗者などを参考人として同行させることもできます。

現状として、補佐人をたてて出頭する者は殆どなく、警察官と主宰者だけで、スピーディーに機械的に処理がなされる。ドライバーの危険度の程度や事情を無視した判断が下されることが殆どである。

道路交通法には、違反者は処分をすることができると定められており、義務ではない。

つまり、処分は個々の事情を合理的に判断し行うわなければならないと書いていることを考えると、法律にのっとって、ドライバーの意見の聴取の機会を最大限に主張すべきである。

このような実情を踏まえると、意見の聴取に準備なく出頭するのでは、警察官と主宰者にまるめこまれ、主張する暇もなく押し込められてしまう可能性が高いと思われます。

つまり、意見聴取には、事前にしっかりとした準備書面や証拠書類を集める必要があるのです。

前にも述べたように、意見聴取の通知から意見聴取の日までは1週間から2週間程度しかありません。

よって、通知がきたら速やかに、もしくは通知がくる前から準備をしておく方が無難だと言えます。

 

意見の聴取に向けた準備

まずは、自分が免停や免許取消処分に至った累積点数の状況を正確に把握することから始まります。

処分の軽減の可能性が基準に照らしてありそうか?を判断します。

そのためには、まず自動車安全運転センター事務所長発行の運転記録証明書を取り寄せる必要があります。証明書には、運転者がいつどのような内容の交通違反を起しているか、累積点数と行政処分の前歴回数などが記載されています。

警察に検挙された時に、サインや切符の受け取りを拒否しても行政処分の点数だけは原則記録されています。

証明書の交付には時間がかかる

証明書の申請用紙は警察署にあり、郵便為替用紙が添付されており、手数料630円を添えて郵便局から申し込むと約2週間で送られてきます。

つまり、意見の聴取の呼び出しがかかってから取り寄せたのでは、意見聴取の日程を延期してもらえわない限り間に合あないということになります。つまり意見の聴取が行われる累積点数になる場合は、早めに運転記録証明書を取得しておくべきです。

違反や事故の実情を整理

どこでどのような走行をしているときに、違反または事故が起こったのか?

現場の実情や検挙時の状況を詳しく書面で説明する必要がある。必要に応じて現地調査を行い、写真撮影や図面にまとめる必要もある。違反は事実であることを認めても、それに至る事情を説明することにより軽減される可能性もある。交通状況から判断して危険を及ぼす走行をしていないケースなど説明する必要がある。

調査が間に合わない場合は、意見聴取の日程を延期してもらうよう申し出することも可能ですので、「補佐人に依頼しているが、期日までに準備ができない」などの理由を添えて公安委員会に延期申請をすると良い。 1~2週間程度延期され、同じ曜日のどこかで再度公安委員会の方から日程を指定してきます。

意見聴取の書類は意見聴取日の数日前までに提出する必要があります。

補佐人を付ける場合には、「補佐人意見書」と本人の「陳述書」を提出します。

提出書類の書き方が処分軽減のカギを握っていますので、ここは真剣に取り組む必要があります。

必要に応じて、家族や会社上司などの陳述書を提出することもあります。

出来る限りの準備を尽くせば、処分の軽減を勝ち取れる可能性はあります。

30日や60日の短期免停処分では意見の聴取が法律上義務付けられていないが、その場合でも、意見を述べることが禁止されているわけではないので、補佐人意見書や陳述書を提出し、処分の軽減を狙う事が出来ない訳ではない。

基本量定の期間が30日又は60日に該当する者であっても、特段の事情がある場合には行為者の危険性を定型的に評価することが実情にそぐわないことがあるので、そのようなケースと認められれば、処分を猶予することができるとなっており、ドライバーの主観的意見と客観的実情を比較衡量して処分軽減が判断されることになります。

意見の書き方

意見を主張するときに、アピールできるポイントはいくつかあるので、それに該当する場合は記載するようにする。

1 交通状況からみて、道路交通上、危険や障害を発生させていない、もしくは発生させても僅かである。(例 見通しのよい片側2車線で歩行者の横断する可能性のない幹線道路で車の流れに従って走行していて速度超過になった)

2 違反の原因は道路の整備や構造の不備など、ドライバー以外の要因がある場合

3 違反はあるが、急病人の搬送や、劣悪な労働環境下などでやむを得ず違反をしてしまった、または事故を起こしてしまった等の特別な事情がある場合

4 事故の原因に被害者側の過失や道路設備、構造不備、不合理な規制などが関与している

5 点数区分の在り方に起因する不合理な事情で、厳しい処分結果となっている

6 そのままの処分を受けると、職場の同僚の業務や家族の生活などに大きな不利益を生じ、周囲の人々までが巻き込まれるような結果になる

7 本人は違反を犯したり事故を起こしたりしないよう、日ごろから安全運転を心がけている。そして、車両を使うことにより社会貢献をしていることをアピールする

どれを主張するにしても、根拠を示し、証明できるかがカギとなる。

 

意見聴取については、最後の違反についての意見を聴くという形で行われるが、ドライバーとしては、過去の点数に対する言い分を主張することにより、低い処分に軽減されることがある以上、聞かれなくてもこちらから主張することが重要となってくる。

1から5に関しては、警察側の取り締まりのミスをつつくことになるケースが多いので、警察側も認めたくない事情がある。よって、6~7をうまく説明するとすれば、警察側の取り締まりの瑕疵を認める必要がなく、丸く収まるケースが多い。 実情に応じてうまく意見を組み立てることがとても重要となる。

 

あくまで行政庁の裁量となり、かならず軽減されるものではない

状況から軽減が難しい方もあれば、軽減されるべき合理的根拠のある方もいます。

しかし判断するのは裁量のある行政庁となり、万全の準備をして意見の聴取に望んでも軽減される保証はありません。

それでも、覚悟の上でやってみようという場合であれば、やってみる価値はあります。

 

行政書士は以下の業務を行うことができます。

・陳述書 反省文等の考案・作成

・意見陳述の代理出席・同席

ご依頼頂く場合は、まずはご相談ください

電話 093-482-3923

代理・同席が可能なエリア 福岡県内・山口県下関市

陳述書の作成のみであれば全国対応可能

 

 

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行政書士佐藤浩一事務所

運転免許証は人によっては生活に関わるとても大切なものです。職業ドライバーが免許停止や取り消し処分を受けてしまうと生活そのものが出来なくなります。国民の権利である意見聴取の機会を活かして少しでも処分を軽減し早く普段通りの生活に戻れるようお手伝い致します。

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